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映画【天気の子】感想・レビュー 新海誠監督最新作は【君の名は。】を超えるのか!? – ネタバレなし –

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久しぶりの映画レビュー記事です。
映画公開初日に新海誠最新作である「天気の子」を観に行ってきました!

僕自身アニメ好き、映画好きなので真剣にこの映画のレビューをしていきたいと思います!
※ネタバレは極力含みま無いように気をつけて書いています。

【天気の子】のあらすじ

「あの光の中に、行ってみたかった」
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。
しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、
怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。
彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。
そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。
ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。
彼女には、不思議な能力があった。
引用:天気の子公式サイト

1人の家出少年、帆高が東京の雨の新宿に迷い込み、ホームレス生活をしていた。家出のため学生証が必要なアルバイトも出来ず、貯めていたであろうお金を使い込みながら、ネットカフェで暮らしていた。

ある日、ファストフード店で無料の水だけを貰い、雨風を凌いでいると、そこでバイトしている女の子である少女・陽菜に出会う。

両親がいない陽菜と、家出した帆高。この2人は東京という少年少女にとってはひたすら冷たく孤独とも言える環境下で少し似た境遇で惹かれ仲良くなっていく。

雨が降りしきる天気の中で陽菜が、帆高にあるものを見せたいという。
——それは、天に祈ったら雨が止むという能力を持つ、陽菜の能力だった。

この天候を操ることが出来るという能力が2人を、世界をも変えてしまう。
2人から始まる新たな物語です。

【天気の子】の感想・レビュー

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「君の名は。」とは全く違った作品。
あえて「君の名は。」という作品に反対を唱える。
この世界の形が2人を通して変わっていく、
そして、その変わった世界と2人がどう向き合い生きていくかという映画

ついつい新海誠監督の前作、「君の名は。」と比較しがちですが、まあ日本の歴代興行収入が千と千尋に次いで2位になっているので当然かと思います。

なので僕も少し「君の名は。」を織り交ぜながら感想を書こうと思います。

  • 【天気の子】は【君の名は。】という映画とは真逆の映画
  • 【天気の子】は大衆に媚びる映画ではなくなった
  • 【天気の子】の声優は?
  • 新海監督作品の背景美術の本領発揮

【天気の子】は【君の名は。】という映画とは真逆の映画

「君の名は。」という映画は冒頭から滝と三葉という人間の2人の生活があり、2人の生活風景を見ると割と裕福です。

特に三葉は、町の中でも歴史ある神社の巫女という事もあり、かなり立派な家に住んでいます。

滝も決して裕福な家庭とは言えませんが、住んでいる場所は都心かつバイトもしながら遊びながら生活をしていて特にお金に困っているシーンは見受けられません。

そして、割と裕福な子の生活の周りの描写が多いので、遊んでいる場所や出てきている場所なども、地方の人であれば少しは憧れそうな都心のビル群内にあるレストランやカフェなどの風景描写などがあります。

食べているものも非常に美味しそうな素材を生かしたような料理が出てきますね。

しかし、今回の「天気の子」の映画では全くの真逆。

むしろ都心のアウトローな部分。つまり闇深い部分が映画冒頭から出てきます。

帆高は家出少年のため、お金がありません。バイトも出来ず人にビル街の一角で野宿したり、満喫の部屋で暮らしたりのホームレス生活です。

陽菜も陽菜で両親がいないため、小学生の弟と二人暮らしで、お世辞にも立派と言えないアパートの一室で暮らしています。陽菜がバイトでやり繰りしながらなんとか生活をしています。

ガラの悪いチンピラや、優しくない大人、ファストフードやインスタント食品などのジャンクフード。「君の名は。」のような綺麗な部分が映ってる訳ではなく、むしろ汚い部分が映ることがほとんどです。

【天気の子】は大衆に媚びる映画ではなくなった

言ってしまえば失礼なんですが、「天気の子」は大衆向けに媚びる映画ではなくなったような気がします。

「君の名は。」って公開された当初は絶賛で、結末はハッピーエンドで終わり最高の映画と称されました。(テレビ放送されてから無料で見た人がチラホラ批判した感じはありますが…)

所謂、公開された当初から絶賛があるっていう事は「大衆向け」であり、映画を観た人の7割近くは面白いと思って映画を観終わっているんです。

しかし、「天気の子」は全く大衆向けではないんです。
つまり、7割の人が面白い!感動した!というお話ではない。

むしろ、新海誠監督作品を「君の名は。」で知り、その作品だけしか知らないという方には若干違和感を覚える映画かもしれません。

新海監督も映画のパンフレットや他の雑誌インタビューで以下のように答えています。

オーソドックスな物語の定型からは外れるけれど、それでも多くの人に楽しんでもらえて、できれば今の心情に刺さるもの。

そして娯楽映画として、前向きな気分を劇場から家に持ち帰ってもらえるもの。それが今回の映画の目標にしました。
引用:映画「天気の子」パンフレット 監督インタビュー

典型的な「何か問題が起きた→解決した→ハッピーエンド」という話ではない。新海監督作品の新境地。新たな挑戦を観られます!

【天気の子】の声優は?

「天気の子」の特報で何かと声優の問題で以下のように話題になっていましたが…

・本田翼さんが演じる女の子が微妙…
・主人公の声が子どもっぽい…

アニメ好きな僕が本音の感想で書きます。

・本田翼さんの声
 違和感があるのは最初だけ
 自然と年上のお姉さん感が出てくる

・主人公の帆高、陽菜の声
 設定が高校生なのでむしろこれより大人っぽいと逆に違和感
 特に森七菜さんの子どもぽくも、少し大人びた声が陽菜の声にバッチリ合っている

って感じです。声優自体に詳しくはないんですが個々の登場人物に非常に合っている感じがしました。

正直に言ってしまうと本田翼さん演じた『夏美』の声は、長澤まさみさんで良くない??と当初は思っていましたが恐らく、長澤まさみさんだと大人っぽすぎる。

帆高から見たらお姉さんだけれど、実際にはまだまだ子供の年齢に近い。幼さが少し残った年上のお姉さんという感じで本田翼さんはその点合っていたと思います。

その他、登場人物でかなり重要になってくるのは小栗旬さん演じる『須賀圭介』という人物も非常に合っていました。

帆高を一時的に面倒見てくれる編集プロダクションの社長ですが、少しアウトロー感があります。そして人間臭さが非常に出ていてマッチしていて、居そうでいない格好いいおっさんという感じで良かったです。

新海監督作品の背景美術の本領発揮

「天気の子」の劇中は8割〜9割の天気は雨です。常に空は灰色のどんより雲。都心にひたすらに降る雨が冷たそうです。

新海監督作品で「雨」といえば「言の葉の庭」ですが、それすら超えてくる雨の量です。

「言の葉の庭」で雨自体が主人公2人の心理描写で使用され、新宿御苑と合わさって非常に美しい描写が映されました。

「天気の子」では、陽菜の能力のせいもありますが、ほぼずっと雨が降っています。
2人の未来を案じているかのように土砂降りの雨です。

そして、描写も新宿御苑のような美しい場所ではなく、都会のアウトローな部分。直接的に言ってしまえば汚い都心の部分が映っていて描写的には真逆。

それでも、新海監督作品の魅力である背景描写が美しかった。

都心に降る同じ雨でも、こうも違うのか…
「言の葉の庭」や「君の名は。」でも出てくる新宿でもこんなに違うのか。

というクリエイターたちの技術にただただ圧倒でした。

「君の名は。」をも超える背景描写

花火のシーンや、雲間から見える太陽の描写、雲の中のシーンを抜けていくシーンがありますがどの作品をも超える美しい描写でした。

鳥肌間違いなしなので是非背景にも着目して見てください!こちら公式ビジュアルガイドブックでもチェック必須です!

まとめ

新海誠監督の3年ぶりの最新作非常に面白かったです!
少しの希望と絶望がある。そんな物語です。

新海監督のインタビューで以下のようなお話があります。

世界情勢においても、環境問題においても、世の中の変化が加速していて、体感としてはどうもおかしな方向に変わっていっている。ただ、それを止めなかったのも僕たちです。今の世界は僕たち自身が選択したものでもあります。

僕たち大人はこういった世界の在りようについてそれぞれ何らかの責任を追っている。一方で若い人たちにとっては今の世界は選択の余地すらなかったものです。

生まれた時からこの形であり、選択のしようがなくここで生きていくしかない。
引用:映画「天気の子」パンフレット 監督インタビュー

個人的に帆高と陽菜は若者の代表で、この選択肢がない世界の在り方を変えてしまったのではないかと思いました。

その中で大人になればなるほど、若い2人を見るのが難しくなる。

僕は20代前半ですが、主人公の気持ちよりも上記で紹介した小栗旬さん演じる「須賀」という人物の気持ちの方に近かったです。

それは恐らく、「大人たちに勝手に選択された世界を歩き続けた結果、自分もこの誰かに選択された世界に染まった大人になってしまったから。」

この帆高と陽菜はまだ、そんな大人になっていない。
自分たちで選択できる世界を持っている。

そんな若い人に向けてのメッセージかなあ。と自己解釈をしていました。笑

恐らく一回映画を見るだけで回収できない部分もあるのでもう一度観ようと思います。
小説の方でも映画では書ききれなかった部分もあると思うので要チェックです!

外部サイト天気の子 公式サイト

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